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メタバースとは一体どんなもの?由来や活用例などを解説!

公開日: 2022年9月5日    
メタバースとは一体どんなもの?由来や活用例などを解説!

メタバースは近年注目されているものであり、さまざまな分野で試されています。そのため、具体的にどのようなものなのか知りたい方もいるでしょう。そこで今回は、メタバースの基本情報や事例をご紹介します。この記事を読んで、メタバースの今と将来を考えてみましょう。

メタバースとは何か?

メタバースとは何か?

メタバース(metaverse)の定義は今のところ明確に定まっていませんが、一言でまとめるとインターネット上の仮想空間のことです。現在ではさまざまな業界でメタバースが注目されており、エンタメ以外にビジネスとしても活用され始めています。

メタバースが世間から大きく注目を集めたきっかけとして、マーク・ザッカーバーグが創業したFacebook社がMeta社に名称が変わったことが挙げられます。

新しい社名の由来はメタバースからきており、これからの時代においてメタバースが重要であることが感じられるでしょう。事実、メタバース市場は2024年に90兆円規模になると予測されています。

参考:メタバース推進協議会

メタバースはいきなり登場したものではない

メタバースはいきなり出現したものではありません。実はメタバースの先駆けとして、「Second Life」というものがあります。「Second Life」は2003年にスタートし、2007年3月末には参加者が約500万人以上となるほどの人気となりました。

「Second Life」内のコンテンツは、そのほとんどを参加するユーザーが作っています。仮想空間内で取引することも可能であり、「平成19年版 情報通信白書」によるとその金額は180万ドルを超えるほどでした。

「Second Life」はゲームのオープンワールドのような世界で、特にストーリーはありません。好きなようにプレイでき、3Dアバターで世界中を観光したり、クラブで踊ったりすることができます。

ビジネスにも大きな影響を及ぼし、2006年5月にアメリカのBusinessWeek誌が特集を組んだことで大きく注目を集め、IBMやDELLなどが参入。日本では代表的な事例として電通が参入し、「Second Life」内で複数の島を確保しました。

ただ、「Second Life」は現在のメタバースほどブームになりませんでした。その理由はいくつかあり、今と比べるとその当時の通信速度が遅かったことやスマホが普及していなかったことが挙げられます。

そのことから「早すぎたメタバース」と呼ばれることもありますが、「Second Life」自体は今もなお存在しています。

参考:総務省 平成19年版 情報通信白書

メタバースの由来

メタバースの由来

メタバース(Metaverse)は「高次元の」を意味する「Meta」という言葉と、「世界」を意味する「Universe」という言葉を組み合わせて作られた造語です。この言葉は最近誕生したものではありません。

もともとメタバースという言葉は、1992年に発売されたニール・スティーヴンスンによるSF小説「スノウ・クラッシュ」に登場する架空の仮想空間サービスを指す言葉でした。

それどころか「アバター」という言葉が初めて登場した本でもあり、現在では伝説のSF小説と称されています。

メタバースの世界

メタバースの世界

メタバースはどうしてもイメージしにくいものであるため、仮想空間と言われてもどのようなものなのかよく分からないかもしれません。

映画やアニメの世界では、今や仮想空間を扱った作品がいくつか誕生しており、主なものとして「サマーウォーズ」や「ソードアート・オンライン」シリーズなどが挙げられます。よく知られる作品なので実際にご覧になった方も多いのではないでしょうか。

サマーウォーズ

「サマーウォーズ」は、2009年に細田守監督によって制作されたアニメ映画です。「OZ」と呼ばれる世界中の人が集まる仮想空間が舞台となっており、アバターを活用してストーリーが展開されていきます。

「OZ」内では、現実世界と同じようにアバターが生活しています。当時はアニメ映画だけの世界でしたが、2019年7月に「OZ on VRoid」がリリース。アニメの世界だけではなく、現実でも「OZ」の世界を体験できるようになりました。

なお、細田守監督の作品では「サマーウォーズ」以外にも仮想空間が登場します。具体的には2000年の「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」や、2021年の「龍とそばかすの姫」です。

ただ、作品の年代によって仮想空間における表現が変わってきて、「龍とそばかすの姫」では、現実世界で起きたことが仮想空間にも影響を及ぼすようなものになっています。これは現在の仮想空間のおかれている状況と似ています。

ソードアート・オンラインシリーズ

仮想空間をテーマにしたアニメは他にもあり、代表的なものとして「ソードアート・オンライン」シリーズが挙げられます。原作はライトノベルの通称SAOと略されるシリーズで、2012年にテレビ放送が開始されました。

「ソードアート・オンライン」の世界では、専用のVRマシンを使うことで五感のすべてを投影できるようになっています。現在の技術ではまだ難しいですが、今後そのようなものが誕生するかもしれません。

マトリックス

実写映画では「マトリックス」が挙げられます。1999年〜2003年に三部作として公開され、2021年には続編が公開されました。

「マトリックス」での仮想空間は、先に紹介したアニメでの仮想空間とは扱いが異なります。主人公は、現実だと思っていた世界が本当はマシンによって作られた仮想世界ということを知り、そこから現実世界の救世主になるために行動します。

現代の現実世界と仮想世界は、「龍とそばかすの姫」のように別々の世界という境界線が明確ながらも、お互いに影響を受け合う存在だといわれています。

ただ、今後の技術の進化次第では「マトリックス」のように、現実世界と仮想世界の境界線が分からなくなるほど発展するかもしれません。

レディ・プレイヤー1

もう1つ仮想空間が取り上げられた有名な実写映画として、スティーブン・スピルバーグが監督した「レディ・プレイヤー1」が挙げられます。この映画の舞台は「オアシス」という仮想空間で、自らの姿をアバターに変身させて入り込むことができます。

この映画では、仮想空間ということもあってガンダムをはじめ有名なキャラクターが多数登場します。このようなことはもう実際に行われており、メタバースを活用することでキャラクターと関わることもできるようになっています。

メタバースとVR の関係

メタバースとVR の関係

メタバースにおいて、VRは重要な技術(ツール)です。まずメタバースは先にご紹介したように仮想空間のことですが、実際に参加するためには仮想空間を現実と同じように感じ取れるデバイスが必要になります。

その際に用いられるデバイスがVRです。わかりやすくまとめれば、メタバースは別世界で、VRはその世界に入るためのアイテム(鍵)といえます。

VRはメタバースと同じような概念として、さまざまなところで用いられている技術です。例として医療業界では、VR技術が手術や歩行訓練の場面で活用されています。

教育向けにも活用されており、例として「The Stanford Virtual Hearts」というVRコンテンツでは、心臓について学ぶことができます。

メタバースが試されている主な事例

メタバースが試されている主な事例

メタバース(ここでは広く仮想空間ビジネスを取り上げる)は幅広い業界で試されており、今後どのように活用されていくのか期待されています。

ここでは主な事例として次の4つのカテゴリーを取り上げ、それぞれどのように活用されているのかご紹介します。

  • ゲーム
  • 共同作業
  • イベント
  • 交流

ゲーム

メタバースを誕生させようとさまざまな取り組みを行っている業界として、代表的なところがゲーム業界です。ゲーム業界では幅広い作品でメタバースが展開されており、あなたが持っているソフトでもメタバースと呼ばれるものが誕生しているかもしれません。

代表的な作品が「Fortnite」です。「Fortnite」は1つの島を舞台に最大100人が集まってプレイできるオンラインゲームですが、バーチャル空間での音楽ライブも開催されます。実際に過去には、アリアナ・グランデや星野源が「Fortnite」内でライブを行いました。

またゲーム業界ではメタバースに近い存在といわれるものに、Massively Multiplayer Online Role-Playing Game(大規模多人数同時参加型オンライン・ロールプレイングゲーム)があります。MMORPGは大勢のプレイヤーが同時に参加してコミュニケーションが取れる仮想空間です。「ファンタシースターオンライン2」や「エターナル」「ファイナルファンタジー14」など代表的な作品も多数あります。

メタバースに近いと思われる点は、現実世界と同じように仮想空間内でも時間が流れていることです。自分がログインしていなくても他の参加者ではストーリーが進行していて、ゲーム内での交流が行われています。また一方では、ゲーム内で購入したものはゲーム内でしか利用できないという、仮想空間ならではの制約も存在します。

共同作業

メタバースは、共同作業の新しいオフィスとしても期待されています。最近では新型コロナウイルスの大流行をきっかけにリモート勤務が当たり前となっており、オフィスをなくす企業も現れています。しかし、作業内容によっては集まって一緒に協力して行わないといけない場合もあるでしょう。その際に活用できる仮想空間として注目されています。

仮想空間内に他の社員達と集まることにより、協力して作業をすすめることができます。同じ部屋にいるような雰囲気となり、リアルなオフィスに近い状態で共同作業が可能となります。

実際の例として「oVice」があります。「oVice」はバーチャルなオフィスツールであり、毎日世界で100個以上の仮想空間が開設されています。アバター(アイコン)を通じて、自由に仮想空間内の参加者と交流することが可能です。ビジネスにおけるコミュニケーションツールとして活用されています。

イベント

メタバースはイベントの場としても注目されています。例えば、テレビ朝日は積極的にメタバースを活用しており、仮想空間「光と星のメタバース六本木」でのイベントを100回以上も開催。テレビ番組「声優パーク建設計画メタバース部」との連動も行い、テレビ局ならではの方法でメタバースを活かしています。

また、株式会社HIKKYは毎年「バーチャルマーケット」というイベントを仮想空間内で開催。期間限定のイベントで、ブラウザを起動するだけで同人誌即売会や音楽即売会の仮想空間へ参加できます。「バーチャルマーケット」の規模が非常に大きく、「バーチャルリアリティマーケットイベントにおけるブースの最多数」という名目でギネスの世界記録にもなりました。

メタバースはビジネスだけではなく、政治の世界でも活用されています。2022年6月5日に自民党は、メタバースプラットフォーム「Cluster」内で街頭演説を実施。実際に河野太郎広報本部長や牧島かれんデジタル大臣などが自身のアバター姿で登場し、大きな注目を集めました。

交流

メタバースは交流の場としても期待されており、ビジネスにおいては会議会場として取り入れられています。メタバースでは簡単に会議の場所を用意できるため、誰でも気軽に仮想空間内で業務の進捗状況やプロジェクトの企画などを話し合うことができます。

例えば、阪急阪神ホールディングスではバーチャル空間となった大阪梅田を舞台にオンライン音楽祭「JM梅田ミュージックフェス」を開催。アバター姿のVtuberとの握手会を行い、仮想空間を通じてキャラクターとの交流を体感できました。

また、株式会社CURIOUS WORLDでは「メタバース留学」というサービスを運営しています。仮想空間上で英語学習や国際交流を体験でき、現実に近い留学体験を通して海外の学生と協働作業を行うことができます。

メタバースは自治体でも活用されており、大阪府と大阪市は2025年大阪・関西万博に向けて「バーチャル大阪」を提供しています。「バーチャル大阪」では大阪城や道頓堀といった観光スポットが再現されていて、参加者はアバターとして街を歩いたり、さまざまな人と交流したり、バーチャルライブなどのエンタメコンテンツを体験することができます。

メタバースの魅力

メタバースの魅力

メタバースの魅力はいろいろありますが、要約すると次の通りです。

  • 現実世界で一箇所に集まる必要がなくなる
  • 身体が不自由な方でも活動しやすくなる
  • さまざまなビジネスチャンスにつながる

その魅力を知ることで、実際にメタバースを体験したくなるかもしれません。ここからは一つずつくわしく紹介していきます。

現実世界で一つの場所に集まる必要がなくなる

1つ目の魅力は、わざわざ一つの場所に集まる必要がなくなることです。メタバースはインターネット上の仮想空間の特徴を活かして会議やイベントなどを行えます。そのため、これまでのように決められた会場や施設に行かなくても、自宅から参加が可能になります。

またイベントに関してもメタバースを活用することで、世界中の人が集まることが可能になります。距離的な問題で参加できないという課題が解消されるため、世界的なイベントを開催したい場合でも容易に実現することができます。

身体が不自由な方でも活動しやすくなる

2つ目の魅力は、身体が不自由な方でも活動しやすくなることです。現実世界では障害があって活動が制限される方でも、仮想空間では不自由なく移動やコミュニケーションが可能になります。そのため、現実世界ではできなかったことをメタバースの仮想空間ではできるようになると期待されています。そしてメタバースが発達していけば、仮想空間で現実社会と同様に仕事ができるようになるかもしれません。

さまざまなビジネスチャンスにつながる

3つ目の魅力は、さまざまなビジネスチャンスにつながることです。メタバースは現実世界とは別の仮想世界であるため、多くのビジネスチャンスを秘めています。例えば、仮想空間内で広告を展開したり、展示即売会を開催したりなどが挙げられるでしょう。

またメタバースでは、NFTアートや仮想空間の不動産を売買することで資産運用をすることも可能になるでしょう。新しい経済圏としての役割を果たすようになり、メタバースを活用した新しいサービスの展開も期待できます。

また、eコマースにおいてもメタバースでは新しいビジネスチャンスにつながるでしょう。例えば、仮想空間で現実の商品を紹介することで、ユーザーはアバターを通して商品のサイズ感や見た目などを従来のWebサイトよりもくわしく体感できるようになります。さらには仮想空間で身につけるものや使うものを、デジタルなオブジェクトとして購入することが当たり前になるかもしれません。

メタバースの危うさ

メタバースの危うさ

メタバースには一箇所に集まる必要がなくなったり、ビジネスチャンスにつながったりする魅力があります。しかし、その一方で次のような危うさも持っています。

  • 仮想通貨に関する被害に巻き込まれる恐れがある
  • 仮想世界に執着し、依存してしまう

仮想通貨に関する被害に巻き込まれる恐れがある

1つ目の危うさは、仮想通貨に関する被害に巻き込まれる恐れがあることです。

例えば、ゲームの仮想空間ではウォレットと呼ばれる仮想の財布を作って、そこから仮想通貨を用いて商品を購入する仕組みがあります。しかし、オンライン上ということで不正アクセスされて、ウォレット内の仮想通貨が盗まれてしまう恐れがあります。

実際に2022年の3月に「Ronin Network」というゲーム専用のブロックチェーンプラットフォームでは、750億円ほどの仮想通貨が不正に流出するといった被害が出ました。

参考:Community Alert: Ronin Validators Compromised

仮想世界に執着し、依存してしまう

2つ目の危うさは、仮想世界に執着してしまうことです。仮想世界は依存性が高くなるといわれていて、現実世界でのコミュニケーションが希薄なものになってしまう恐れがあります。

メタバースは次世代のSNSになると予想され、その依存度は今のゲームやSNSよりも高いと思われます。今でもゲームなどの仮想世界にハマってしまった人の中には、仮想空間内で飲み会をやったり、恋人とデートしたりする人達がいます。現実世界よりも魅力ある日常生活のようなことができるからこそ、一部の利用者は依存してしまうのかもしれません。

これからのメタバースはどうなる?

これからのメタバースはどうなる?

メタバースは非常に注目を集める存在となり、経済だけでなく、医療や政治の世界でも取り入れられるようになってきました。それでは今後はどうなるのでしょうか。最後に、メタバース市場の予測や問題点など、これからのメタバースについてご紹介します。

メタバース市場は今後も拡大する

メタバース市場はますます拡大していくといわれており、2030年には6,788億米ドルに達すると予測されています。その背景にはARやVR、MRデバイスの開発や流通の拡大があり、これらがさらに活発なものとなれば、メタバース市場も連動して成長するようになるでしょう。

ちなみに、ARは拡張現実という意味で、現実空間に仮想の映像を投影させる技術のことです。もう1つのMRは複合現実という意味で、現実空間と仮想の映像を組み合わせる技術のことを指します。ARが仮想のデジタル情報を表示させるのみであるのに対し、MRは表示されたデジタル情報に触ったり、付け加えたりすることが可能になるものです。

参考:株式会社グローバルインフォメーション 市場調査レポート「メタバースの市場規模・市場シェア・市場動向 (2022-2030年)」

今後の問題点と課題

これから本格的に成長が期待されるメタバースですが、その一方で問題点もあります。それはメタバースに対して、対処できる法律が追いついていないことです。

今の法律は現実世界の事象を想定したものであり、仮想世界の事象までは含まれていません。そのため、メタバース内での商取引や権利における問題にどのように対処すればよいのかということが今後の重大な課題です。

また、本格的なメタバースにはVRゴーグル等のデバイスが必須になることから、どのようにしてこれらのデバイスを普及させていくかということも課題として挙げられます。現在はパソコンやスマホほどVRデバイスは必須とされていないため、どれほど良質なコンテンツと連携させていくのかが課題になります。

まとめ

まとめ

メタバースはインターネット上の仮想空間であり、さまざまな魅力があることから、ゲーム業界や医療業界、教育業界などいろいろな分野で取り入れられています。

その一方で危うさや課題もあるため、今後どのように解決していくのか注目されるでしょう。

それでも、これからメタバースが本格的に発展していくことに変わりはありません。だからこそ、気になる方は今のうちからメタバースに触れてみてはいかがでしょう。

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