
今やさまざまな分野でアバターが活用されていますが、まだまだ企業にとっても足踏み状態が続いています。
しかしながら、展示会や研修で次世代プラットフォームとして活用する企業が増えるものと予測されており、ビジネス展開としても未知の可能性を秘めています。
この記事では、アバターの基本情報を理解した上で、ビジネスでの活用事例をピックアップしています。また、無料ソフトのLive2Dを用いたVTuber向けの2Dアバター、3Dアバター の作り方もあわせて紹介します。
アバター 作成に挑戦したい方はぜひ最後までご覧ください。
そもそもアバターとは?
アバターという言葉やどんなものかを理解し、身近に感じてきた方も多いのではないでしょうか。
アバターとは、仮想空間で自分の分身として使えるキャラクターのことです。ただ、自分の分身だからといって、現実の自分そっくりにしなければいけないというわけではありません。あくまで仮想空間の分身だからこそ、自分の理想的なキャラクターにできます。
ちなみに、アバター(avatar)の言語はサンスクリット語のアヴァターラ(avataara)であり、インドの神話における神や仏の化身という意味です。
アバターのメリット
アバターが注目されている3つの理由を挙げます。
- ・自分の顔を出す必要がない
- 自分とは違った見た目にもできるため、自由な発想で好きなキャラクターになれる
- ・仮想空間の中で他のアバターと会話したり、ゲームをしたりできる
- アバターとして活動することで仮想空間の中でもそこにいるかのような感覚を得られる
- ・会社や店舗に行かなくても、遠隔操作で可能になる
- 現実世界ではできないこと、例えば世界中の人と交流するなど、アバターを通して可能になることが増える
アバターの活用シーン

アバターはさまざまなシーンで活用されています。主なシーンとしては、以下のとおりです。
- ゲーム
- SNS
- ビジネス
- メタバース
「あつまれ どうぶつの森」や「モンスターハンター」シリーズといったゲームでは、早い時期からアバターを取り入れており、実際にゲームで自分のアバターを作ったことがある方も多いでしょう。
また、SNSでも自分だけのアバターや部屋をつくって、アバター同士の交流ができるスマートフォン用アプリもあります。代表的な例として「ピグパーティ」「サンリオキャラクターズ ハロースイートデイズ」が挙げられます。
ビジネスにおいては、仮想オフィスや仮想店舗などでアバターが用いられています。仮想オフィスについては、実際のオフィスよりもコミュニケーションが円滑になりやすいといわれており、一部で検証が進められているようです。
メタバース でのアバターの活用については「メタバースとは一体どんなもの?由来や活用例などを解説!」の記事をご覧ください。
ビジネスにアバターを取り入れた活用事例

メタバースの一時的なブームがありましたが、これからは地に足のついたビジネス展開が進むと考えられています。市場という観点では、法人向けの市場でメタバースを次世代プラットフォームとして活用する企業が増えてくると予想されています。
株式会社矢野経済研究所によると、2024年にメタバースの国内市場動向調査を実施した結果は下記の通りです。2024年度は2,750億円となる見込みで、2028年度には1.87兆円まで拡大すると予測しています。
参考:メタバースの国内市場動向調査を実施(2024年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
では、現在ビジネスにアバターを取り入れた活用事例はどのような事例があるのか、1つずつ紹介していきます。これからアバターを取り入れようと考えているならば、ぜひ参考にしてみてください。
事例1.株式会社モスフードサービス
株式会社モスフードサービスは、ロボット開発を行うオリィ研究所が開発した分身ロボット「OriHime」を実験的に設置、導入を続けています。
子育てや介護、難病によって外出の困難な方が「OriHime」を用いて、遠隔操作して接客することで店舗勤務を可能にします。
リモート接客は、ロボットでも心のこもったおもてなしを行えるのが魅力です。
まだ本格的に導入されていないとはいえ、人手不足に対応する実験としても期待されています。
そのほか、メタバース上の月面空間に店舗を期間限定で出店するなど、さまざまなチャレンジも企画しています。新商品の発売に合わせた企画でVRゴーグルさえあれば24時間365日来店可能で、厨房ではウサギの店員になって調理する体験もできます。また、地球を見ながら食事といった話題性もありました。
参考:モスバーガーがメタバース上の“月面空間”に出店!?初の仮想店舗「モスバーガー ON THE MOON」が9月14日にオープン | プレスリリース
事例2.ローソン
地域の暮らしに密着した役割が多様化するコンビニ業界でも、「アバター」が新たな働き手として注目されています。ローソンでは、2025年1月から海外在住の日本人をパートタイムで採用し、深夜や早朝の接客を担う取り組みをスタートしました。
第一弾では、時差を活かしてスウェーデン在住の日本人を採用。彼らがスクリーン上のアバターとしてレジ横に立ち、無人レジの使い方や不明点を丁寧に案内しています。
このように、リモートでの接客の活用が進むことで、場所や年齢、障害、ジェンダーを問わない新しい働き方が広がっています。身体的な理由で外出が難しい方も、飲食店や書店、テーマパークなど多様な現場で活躍できる可能性が生まれています。
参考:ローソンの海外在住「アバター店員」が生む新たな働き方。コンビニは地域インフラになれるか? | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD
事例3.株式会社ワコールホールディングス
株式会社ワコールホールディングスでは、アバターと楽しく話しながら下着を選べる「パルレ」というアバターサービスを取り入れています。一言でまとめるとリモート型の接客サービスであり、専用ブースで相談できます。
下着は多くの女性が好きなものを購入したいと思っているものですが、だからといって直接販売員に相談するのは恥ずかしいと思っている方もいるかもしれません。
しかし、「パルレ」の場合は専用ブースでアバターに対して相談できるからこそ、対面で販売員と話すよりも恥ずかしさが少ないため、素直に相談できるでしょう。
このようにアバターを通して顧客の好みやニーズに応じてカスタマイズされたサービスを提供することができるのも魅力です。
事例4.株式会社三越伊勢丹ホールディングス
株式会社三越伊勢丹ホールディングスは、自社店舗を再現したメタバース「REV WORLDS」スマホ向けアプリを展開中。「バーチャルの伊勢丹」で「リアルな買い物」を体験するサービスを提供しています。
ショップ空間でショッピングを楽しむことができ、その商品を実際にECで購入することができます。アバターの店員もおり、チャット機能を使って接客も受けられます。現在は婦人服や食品など310ブランドを扱っており、今後はさらに家具や日用品にも対象を広げる方針です。
事例5.株式会社KDDI
メタバース・Web3サービスプラットフォーム「αU(アルファユー)」を誕生させました。
リアルとバーチャルがつながり、誰もが簡単にメタバース内でエンタメ体験や友人との会話を楽しめる世界やデジタルアートなどの購入ができるマーケットなど5つのサービスをプラットフォーム内で提供しています。
「αU metaverse」内の仮想空間には渋谷や大阪の街が再現されており、街中の居酒屋で初対面の人同士語り合ったり、バーで占いをしてもらったり、自由にコミュニケーションを楽しめます。そのほか、お友達やコミュニティを広げることも可能です。
ネットショップの新たな形として、今後のアバターやメタバースの発展次第ではさまざまな企業が導入するかもしれません。
Live2Dを用いたVTuber向けの2Dアバターの作り方

初心者でもアバターを作成することは十分可能です。ただし、作り方を誤ると、キャラクターが正しく動作しなかったり、アバターがうまく認識されないといったトラブルが発生することもあります。アバターの正しい作成方法をしっかりと理解して作りましょう。
アバターを作る際、目的によって作り方や使うソフトが異なります。そこでまずは、Live2Dという専用のモデリングソフトを用いた、近年流行しているVTuber向けの2Dアバターの作り方を解説します。
なお、VTuberとはYouTube上のアニメーションキャラクターのことであり、「キズナアイ」の登場をきっかけに、さまざまなキャラクターが登場しました。多くの企業もVTuberを取り入れるようになっています。
イラストを用意する
まず行うのは、イラストの準備です。この際のポイントとして、Live2Dで動かしやすいイラストがどのようなものなのか把握しておくことが挙げられます。具体的に動かしやすいイラストとは、以下の特徴があります。
- 線がハッキリとしている
- 線画と色塗りのレイヤー分けがされている
- 真正面で全身が写っている
反対にイラストにエフェクトがかかっているものや、全体にグラデーションがかかっているものは動かしにくいイラストといえます。
用意したイラストはそれぞれパーツごとに切り分けていきますが、手前にあるパーツから奥にかけて取り組むことで、他のパーツと間違えてしまうリスクを減らせます。
また、イラストにおいては表情も重要なポイントです。イラストに動きをつけていくことを考えて、デフォルトは無表情にしましょう。真正面のイラストにすることで、きれいな仕上がりとなります。
モデリング作業を行う
次にLive2Dでモデリング作業を行います。Live2Dを用いる際は、細かく設定していくことが重要であり、大雑把に設定してしまうと不自然なアバターになってしまいます。
ちょっとした動作であっても不自然さがあると魅力が落ちてしまうため、細かい動作であっても違和感がないか注意して作業していきましょう。
また「FaceRig」を使って、表情を読み取るのも忘れないようにしましょう。「FaceRig」とは表情を読み取ってくれるソフトであり、Webカメラが必要になります。感情豊かなアバターを作るためにも、「FaceRig」での作業も忘れないようにしましょう。
3Dアバターの作り方

アバターは平面的な2Dのものだけではなく、立体的な3Dのアバターもあります。3Dアバターも専門的なソフトや制作手順を把握しておくことで作ることができ、2Dよりもリアリティのあるアバターを作ることが可能です。
この項目では、3Dアバターの作り方を3つのステップにわけて解説します。3Dアバターに興味があるならば、以下の手順に沿って作ってみましょう。
イラストを用意する
まずは、元絵となるイラストを用意しましょう。イラストを作成する際にはペイントソフトが必要になるため、あらかじめ用意しておきましょう。ペイントソフトは幅広いさまざまなものがあるので、それぞれの機能性や操作性などを比較して、自分に合うものを使うのが良いでしょう。
イラストを描く際は、下書きの段階から正面以外に横や後ろといったさまざまな向きで描いておくのがポイントです。
なお、イラストを描くのが苦手な場合には、「VRoid Studio」というソフトを使うのがおすすめです。「VRoid Studio」を使うことで、初心者でもイラストなしで簡単に3Dモデルを作成できます。
3D制作ソフトでキャラクターを作る
イラストが完成したら、3D制作ソフトを用いてキャラクターを作っていきます。主なソフトとしては、先に触れた「VRoid Studio」や「Blender」などが挙げられます。どちらも無料であるため、双方とも操作してみて自分に合う方を選びましょう。
「VRoid Studio」の場合はイラストを用意しなくても簡単にキャラクターのモデリングができ、作った3DモデルをVR・ARコンテンツ内のアバターとして使えます。
「Blender」は機能性に優れており、3Dアバターの作成はもちろんのこと、アニメーション作成や動画編集なども可能です。しかしながら、本格的な3D制作ソフトのため操作を覚えるまでに時間がかかるデメリットがあるため、注意が必要です。
作ったキャラクターに動作を加える
次は、3Dにしたキャラクターに動作を加えていきます。動作に関しては、モデリングしたアバターの動かしたい範囲によって必要な機材が異なります。例えば、顔だけを動かしたい場合には、「3tene」や「FaceRig」といったソフトが必要です。
全身を動かしたいのであれば、Webカメラかモーションキャプチャーを用意しましょう。どちらかを用意し、「3tene」などのソフトを使ってトラッキングしていくことにより、体全体を動かせるようになります。
アバター制作は外注も検討

実際に個人で使うアバターと違ってビジネス目的でアバターを制作するとなると、ある程度のスキルと時間が求められます。もし自社にアバター制作が可能なスキルを持つ人がいなかったり、作る時間がなかったりするのであれば、外注を検討してみましょう。
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まとめ
アバターはこれまでゲームやSNSなどで使われてきましたが、近年ではビジネスシーンでも取り入れる動きが加速すると見込まれています。各業界で、全く新しい生活様式やビジネススタイルが生まれていくことが期待されています。
しかしながら、ビジネス目的でアバター作成を検討する場合、豊富な経験と技術を持つ制作会社に依頼したほうが良いでしょう。
今回ご紹介したアバターの作り方や活用方法を早い段階で理解しておくことで、企業にとってもアバターを使ったビジネスが大きなチャンスになりえるかもしれません。
アバター作成に困ったら、ゼネラルアサヒまでお気軽にお問い合わせください。