スマートフォンの普及やSNSの発展に伴って、動画コンテンツの需要が高まっています。その中で、誰でも簡単に動画を編集できる「オンライン動画編集サービス」が注目を集めています。これまでは、動画編集というと専門のソフトが必要で、そのために高額な出費や高性能なパソコンのスペックが求められました。しかし、今では Webブラウザさえあれば、オンライン上で動画の編集を完結することができる時代となっています。
パソコンにインストールする動画編集ソフトやスマホアプリと比べても、オンライン動画編集サービスはインターネット接続さえあればすぐに利用できるため、非常に利便性が高いのが特徴です。さらに、無料で使えるサービスも多く提供されており、機能も充実しているため、初心者でも手軽に動画制作に挑戦できます。
本記事では、オンラインで動画編集できるサービスの基本的な機能や注意点を詳しく解説するとともに、無料で使用できるおすすめサービスを紹介します。これから動画編集を始めたい方や、より手軽に動画制作を行いたい方必見の内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。
■目次
オンラインで動画編集できるサービスとは
オンラインで動画編集できるサービスとは、ソフトやアプリをインストールすることなく、Webブラウザ上で動画を編集できるサービスのことです。
動画編集ツールには、パソコンにインストールするソフト版、スマホで動画編集できるアプリ版、そしてWebブラウザ上で使えるオンライン動画編集サービスがあります。
オンラインの動画編集サービスは、インターネットに接続できる環境があれば、ソフトやアプリを購入することなく手軽に動画を編集できます。
無料版と有料版の違い
オンライン動画編集サービスには、有料版と無料版があります。それぞれメリットとデメリットがあるので、ニーズに合うタイプを選びましょう。
有料版のメリットは、機能が充実しているものや、使い勝手がよいサービスが多い点です。また、サポートやセキュリティ対策が手厚いものも多く、安心して利用できます。
一方、コストがかかる点や、機能が多すぎて使いこなせない可能性がある点はデメリットと言えるでしょう。
無料版は、無料であるため気軽に利用できます。気に入ったら有料版にアップグレードでき、合わなかったら別のツールに切り替えられます。
一方、有料版に比べて機能が不十分だったり、利用できる機能に制限されていたりする点に注意が必要です。また、動画に透かし(ウォーターマーク)でサービス名が表示されることもあります。
オフライン編集・オンライン編集との違い
オンライン動画編集サービスとよく似た言葉に、「オフライン編集」「オンライン編集」があります。
オフライン編集とは、テープ編集の時代に本編集の前に行う仮編集のことです。もとの素材(マスターテープ)をコピーしたワークテープを使い、ストーリーに沿って映像をつなげていきます。現在ではこの言葉は映像・音声をつないでストーリー(起承転結)を組み立てていくこととしても使われます。
オンライン編集とは、本編集のことです。オフライン編集で編集したデータを元にして、テロップを入れたり、エフェクトや合成、演出を加えたりして、精度を上げて仕上げていきます。
今回紹介するのは、インターネット上で動画を編集できるサービスについてであり、これらの専門用語とは関連はありません。
オンライン動画編集サービスでできること
動画編集では、カット・トリミングした動画をつなぎ合わせて、テロップやBGM、効果音やナレーションなどを挿入し、見やすくわかりやすい動画に仕上げることが必要です。
オンライン動画編集サービスには、一連の作業を行えるよう、基本的な機能が備わっています。
ここでは、オンライン動画編集サービスに搭載されている主な機能について見ていきましょう。それぞれ、作業する上でのポイントや注意点も解説しているため、動画編集の参考にしてください。
カット・トリミングは欠かせない
カット・トリミングは、動画を分割して短くしたり、必要な部分を抜き出したりすることです。
不要な部分を削除することで、動画が見やすくなります。動画を想定時間内に収めるためにも、欠かせない編集作業です。
ストレスなく視聴できる動画になるよう、カットやトリミングを上手に活用しましょう。ただし、やりすぎると動画の流れが不自然になり、分かりにくくなるため注意が必要です。
テロップは必要なところに入れる
テロップ挿入は、出演者のセリフや重要なポイントなどを文字にして、画面に挿入することです。テロップを入れることで、重要な部分を際立たせられます。ミュート(無音)で視聴している人にも、動画の内容を理解してもらえるのもメリットです。
しかしテロップを入れすぎると、動画の情報量が過多になってしまい、かえって分かりにくくなってしまいます。基本的には、必要なところのみにテロップを入れるようにしましょう。
あわせて読みたい!「テロップとは何か?その重要性と効果的な使い方について解説」
BGM・効果音は雰囲気とタイミングが大切
BGM・効果音挿入は、動画の雰囲気に合ったbBGMを入れたり、効果音を入れて重要な部分を際立たせたりすることです。インパクトがあり、見ていて飽きない動画を制作するためには欠かせません。
BGMは雰囲気に合うように、効果音はタイミングがズレないように細心の注意を払うことが大切です。
また、BGMや効果音を使う際は、著作権に注意しましょう。フリー素材だからといって、著作権フリーで自由に使えるわけではありません。オンライン動画編集サービスが提供している素材を利用すると安心です。
テンプレート・エフェクトが充実している
オンライン動画編集サービスの中には、テンプレートが充実しており、動画を挿入したりテキストを変えたりするだけで、簡単に動画を制作できるものがあります。動画編集にはじめて挑戦する方は、テンプレートが多いサービスを選ぶのがおすすめです。
また、スローモーションやマスク、画面分割などのエフェクト(効果)を追加できるサービスもあります。エフェクトは入れすぎるとごちゃごちゃしてしまうため、場面が切り替わるところや、ドラマチックに演出したいところなどに絞って追加するのがポイントです。
動画の書き出し・保存は媒体を確認する
動画編集が完了したら、動画を指定したファイル形式で書き出し、保存しましょう。
動画のファイル形式には、以下をはじめさまざまな種類があります。
- MP4(.mp4)
- MOV(.mov)
- AVI(.avi)
- WMV(.wmv)
- WebM(.webm)
- MPEG2(.mpg)
- FLV(.flv)
YouTubeやInstagramなど、動画をアップする媒体によって、推奨されるファイル形式は異なります。対応していない形式で保存すると、アップできない可能性があるため、必ずファイル形式を確認しましょう。
また、ファイル形式を変換すると画質が落ちてしまうため、編集した元の動画データから再出力しましょう。
あわせて読みたい!「動画のファイル形式とは?代表的な形式や種類を紹介!」
オンラインで動画編集する3つのメリット
オンライン動画編集サービスは、機能がシンプルで使いやすく、パソコンのスペックを気にせずに動画編集できます。無料で利用できるサービスも多いため、はじめて動画編集をする方におすすめです。
ここでは、オンラインで動画編集する3つのメリットを紹介します。
1.機能がシンプルで初心者でも使いやすい
オンライン動画編集サービスは、動画編集に必要な機能が備わっており、ひと通りの工程がオンラインで完結します。機能がシンプルで、初心者にも扱いやすいのがメリットです。凝った編集は難しいですが、機能がシンプルな分、操作がわかりやすいのも魅力です。社内向けに簡単な動画を制作したい方や、試しに動画編集に挑戦したい方などに適しています。
2.スペックが低いパソコンでも動画編集ができる
パソコンにソフトをインストールするとなると、ある程度のスペックやHDD容量が必要ですが、オンライン動画編集サービスは、スペックが低いパソコンでも問題なく利用できます。
インターネットに接続してWebブラウザを立ち上げれば、すぐに利用できるため、スペックやデータ容量を気にせず、気軽に動画編集にチャレンジできるのがメリットです。
3.スピーディかつ低価格で動画を制作できる
テンプレートや素材が充実しているサービスが多いので、スピーディかつ低価格である程度のクオリティの動画を制作できる、コストパフォーマンスのよさが魅力です。
完全無料で使えるサービスや、基本的な機能を無料で利用でき、有料に切り替えると機能追加できいるサービスが多いため、制作予算が少ない方にもおすすめです。
オンラインで動画編集する際の注意点
オンライン動画編集サービスは、手軽に使えて便利な反面、利用するうえでいくつか注意点があります。
特にインターネットに接続しないと使えない点や、条件によっては商用利用できない場合がある点、そしてセキュリティリスクには注意が必要です。また、初心者には適していますが、凝った演出をしたい動画制作には向いていません。
ここでは、オンラインで動画編集する際の5つの注意点を紹介します。
1.インターネットに接続する必要がある
当然ですが、オンライン動画編集サービスはインターネットに接続して使用します。そのため、インターネットに接続できない環境では利用できません。外出先や移動中でも編集を進めたい場合は、ソフトやアプリの方が利便性が高いかもしれません。
また、Wi-Fiを利用できない環境でスマートフォンやタブレットで作業したい場合は、携帯通信キャリアとの契約によってはデータ容量に注意する必要があります。
2.通信速度が遅いと編集作業に時間がかかる
通信速度が遅い環境では、素材のアップロードや動画の書き出しなどに時間がかかり、編集作業の効率が落ちてしまうのが難点です。そのため、インターネットに安定して接続できる環境で作業する必要があります。
また、回線の不具合が起き、データが保存されない可能性もゼロではありません。納期に間に合わなくなるリスクを避けるためにも、こまめにデータを保存する癖をつけましょう。
3.商用利用できるか規約をチェックする
オンライン動画編集サービスの中でも、特に無料で利用できるサービスについては、条件によっては商用利用を不可としている場合があります。商用利用できないことを知らないままビジネスに使ってしまうと、違約金の支払いが発生したり、裁判沙汰に発展したりするケースもあります。
必ず利用規約をチェックし、商用利用できるかどうか、条件がないかを確認したうえで利用することが大切です。
4.セキュリティリスクに注意する
オンライン動画編集サービスを利用する際は、セキュリティリスクに特に注意が必要です。
オンラインで動画編集をするためには、撮影素材等をインターネット上にアップロードする必要があります。そのため、アップロードしたファイルが外部に流出してしまったり、悪意ある第三者によってデータを勝手に利用されたりするリスクは否定できません。
セキュリティポリシーを確認し、セキュリティ対策がしっかりしているサービスを選びましょう。また、重要なデータが含まれる動画制作では、セキュリティの高い環境で編集することが望ましいでしょう。
5.こだわった動画制作には向いていない
オンラインの動画編集サービスは、動画編集に必要な基本的な機能しか備わっていない場合もあり、凝った演出の動画は制作できないケースがあります。
また、サービスが提供するテンプレートや素材を利用すると、簡単に動画を制作できる反面、オリジナリティを出すのは難しくなります。
クオリティの高い動画を制作したい場合は、機能が充実した編集ソフトやアプリを利用するか、動画制作会社に依頼するのがおすすめです。
当社では、さまざまな用途に応じた動画制作サービスを展開しています。クオリティの高い動画を制作したい方は、ぜひお問い合わせください。
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オンライン動画編集サービス3選
最後に、オンライン動画編集サービスのおすすめを3つ紹介します。基本的な機能は無料で利用でき、簡単に動画を編集できるため、ぜひ一度利用してみてください。
1.FlexClip
FlexClipは、数千以上のテンプレートや多くのロイヤリティフリーの素材を使って、オンラインで簡単に動画を制作できるサービスです。
直感的に操作できるため、動画編集の初心者にも扱いやすいでしょう。テンプレートや素材が豊富なため、動画の用途や雰囲気に合ったものを選べるのも魅力です。
さらに、AIが動画を生成したり、自動でテロップを入れてくれたりする機能もあるため、効率よく動画を編集できます。
2.Clipchamp
Clipchampは、テンプレートが充実しており、スピーディに動画を制作できるサービスです。
数百種類にもおよぶテンプレートの中から好きなものを選んでカスタマイズするだけで、簡単にクオリティの高い動画を制作できます。Microsoft社のグループ企業が提供しているため、安心して利用できるでしょう。
無料版でも、動画や画像の素材ライブラリを使用でき、フィルターやエフェクト機能も利用できます。しかし、利用する機能によっては透かしが入ることもあるため、気になる方は有料版を利用しましょう。
3.YouTubeStudio
YouTubeStudioは、Googleアカウントがあれば、YouTube上で無料で利用できる動画編集サービスです。
トリミングやテロップの挿入、BGMの追加など、基本的な機能が揃っています。
YouTubeStudioの特徴は、アップした動画の再生回数や総再生時間、チャンネル登録者数などを分析できるアナリティクス機能があることです。YouTube用の動画を制作したい方や、スマートフォンで撮影した動画を簡単に編集したい方などに適しています。
まとめ
オンラインの動画編集サービスは、専門知識のない初心者からプロまで、多くの利用者にとって便利で使いやすいツールです。これらのサービスを活用すれば、高額なソフトやハイスペックなパソコンを用意することなく、魅力的な動画を簡単に制作することができます。また、無料で始められるため、初めての方でも気軽に挑戦することができます。
しかし、オンラインサービスにはインターネット接続が必要であったり、通信速度やセキュリティに対する注意が必要だったりと、いくつかのデメリットも存在します。特に、商用利用が許可されているかどうか、利用規約の確認は欠かせません。そのため、自分の制作目的や環境に応じて最適なサービスを選び、活用することが重要です。
今回紹介したFlexClip、Clipchamp、YouTubeStudioは、それぞれに特徴があり、使い方次第で多彩な映像を作り出せます。例えば、FlexClipでは豊富なテンプレートとAI技術を駆使して効率よく動画を編集でき、Clipchampではテンプレートと素材をカスタマイズして高品質な動画を制作できます。さらにYouTubeStudioでは、手軽に動画を編集しつつ、分析機能を活用して視聴者の反応を見極めることができます。
これらオンライン動画編集サービスを、簡単な編集から本格的な動画制作までニーズに応じて使いこなし、新たな創作の楽しみを発見してみてください。とりわけ初めての動画編集に挑戦する方にとっては、無料版を試してみることで、自分に最適なツールを見つけることができるでしょう。