COLUMNコラム

広がるレシピ動画!そのトレンドと制作のポイントを解説

公開日: 2024年10月25日    

少し前まで料理の作り方を見たり、調べたりするといえば、料理本や雑誌、またはテレビの料理番組であったり、インターネットで検索するとしても画像と文章で紹介されているものではなかったでしょうか。しかし、今ではYouTubeやSNSでの動画配信、レシピ動画サイトやアプリの広まりによって、動画を見て作ることが急速に広まっています。

レシピ動画は、作り方を調べるという実用的なニーズと見て楽しいというエンタメの要素を持ち、多くの人が視聴する人気コンテンツです。そのためトレンドが現れやすく、今どのようなレシピ動画が人気なのか、制作する上でもぜひ知っておきたいところ。

特に、食品系企業にとってはレシピ動画は料理手順が視覚的に分かるだけでなく、紹介した食材や商品への購買にもつながるためトレンドを取り入れた動画制作が重要です。

今回は、レシピコンテンツの変化や人気の理由を押さえつつ、ターゲットに合わせたレシピ動画制作のポイントを解説します。

レシピ動画もタイパが重視される

レシピ動画は、動画の作り方だけでなく、使う材料や検索ワードといった紹介するレシピそのものにも、その時の傾向や流行が表れます。新型コロナウイルスによる外出自粛期間中などは、人々の行動変容により検索される料理にも大きな変化があったといわれます。
また、Z世代を中心にタイパ(タイムパフォーマンス)が重視され、短尺の動画が好まれる傾向はレシピ動画においても同様です。
まずは、レシピ動画のトレンドについて見てみましょう。

コロナ禍で簡単なレシピやヘルシーなレシピが人気に

コロナ禍では自宅で料理をすることが増え、レシピ動画サイトやアプリの利用が急増、料理家やシェフ、インフルエンサーなどによるオンライン料理教室や料理のライブ配信なども広まりました。
国内最大級のレシピ動画サービス「クラシル」を運営するdely株式会社によると(※1)、新型コロナウイルスの流行と外出自粛の影響により、ユーザーが検索するレシピにも変化がありました。
在宅時間を楽しむ製菓や居酒屋風おつまみのレシピが急伸、自炊疲れから簡単なレシピへの需要の高まり、またコロナ太りを気にしてヘルシーなレシピが人気になるなどの調査結果が出ており、コロナ禍においてもニーズが多様化しています。
また、近年の物価高においては「節約レシピ」の検索数が増加、バレンタイン時期には小麦粉や砂糖を使用しない製菓レシピの検索が増加したという調査結果も公開されています(※2)。
レシピ動画はユーザーの食生活、消費行動に直結したコンテンツであるため、検索ワードに季節や社会経済情勢の変化が表れやすいといえます。
レシピ動画を作る際は、まずは誰に見てほしいのかターゲットを明確にし、そのターゲットのニーズを捉えることが重要です。

※1 クラシル、2020年の消費者行動を振り返る「コロナ禍の食需要変化」調査結果を公開
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000150.000019382.html

※2 手作りバレンタインにも値上げの影響 国内No.1レシピ動画「クラシル」が2023年のトレンド予測を公開
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000318.000019382.html

「レシピ動画の作り方や撮影のポイント」のコラムもあわせてお読みください。

よく視聴されているレシピ動画のポイント

1分以内のショート動画が増えている

先ほど少し触れたとおり、最近は時間を効率よく使いたいとタイパを求める傾向が強く、動画においても短尺のものが好まれています。
レシピ動画アプリの「クラシル」や「DELISH KITCHEN」の動画は1分程度。テンポ良くまとめられているので見ているだけでも楽しめ、また料理に慣れていない人たちにも受け入れられやすいというメリットがあります。
さらに、1分よりも短い15秒ほどのショート動画も増えています。レシピ検索サイトの先駆け的存在であり、国内最大の投稿型サイトの「クックパッド」では、15秒のショート動画を公開。出来上がりのイメージとともに、工程はダイジェストで、調理のポイントはテロップで紹介しています。

縦型動画のほうが受け入れられやすい

これまではYouTubeをはじめ横型動画が主流でしたが、Instagramのリール動画やTikTokなどスマホでの視聴を前提とした縦型動画が増えています。縦型動画の良いところは、画面サイズが大きくなるので集中して見ることができ、最後まで試聴してもらいやすいこと、また縦型動画に慣れている若い世代に受け入れられやすいということもあります。

縦型動画を作る際は、スマホを縦にして撮影するか、カメラで撮影する場合はアスペクト比を9:16に設定します。動画編集ソフトでリサイズすることもできるので、ターゲットや投稿するプラットフォームに応じて、画面サイズを決めましょう。

縦型動画広告とは?メリットや活用事例、成果を上げるポイントなどを解説! 」のコラムも参考に。

手軽に作れる「時短メニュー」「節約メニュー」が人気!

それでは、普段どんなレシピが作られているのか、ポイントサービス「Ponta」を運営する株式会社ロイヤリティ マーケティングが行った夕食の献立に関する調査(※3)を見てみましょう。
調査ではまず、夕食の献立を考える際に参考にするものとして、「レシピサイト・アプリ」が45%と約半数を占めて1位であることが明らかとなりました。
そして普段よく作るメニューは、1位「定番・作りなれているメニュー」、2位「簡単メニュー」、3位「時短メニュー」という結果に。特に「20代・30代は平日・休日ともに他の年代よりも『時短メニュー』『節約メニュー』が多い傾向があり、時短・コスパ志向がうかがえる」と分析されています(「ロイヤリティ マーケティング」調べ)。
また、「DELISH KITCHEN」によるコロナ前後での食トレンドの変化の分析においても、調理工程数が少なく、手軽に作れるレシピの人気が上がっているということです(※4)。調査では「作り置きおかず」の検索ボリュームが急上昇しているということで、コロナ後の外出、出社日の増加により、平日は時短料理や「作り置きおかず」のニーズが高まっていると推察されています。
もちろんターゲットやその時の社会経済情勢、季節にもよりますが、「仕事から帰ってきた後でもパパッと作れる」「料理は得意じゃないけど簡単に作れる」といったレシピが、より多くのユーザーに刺さる動画となっています。

※3 スーパーマーケット利用者約9万人に聞いた夕食の献立に関する調査 献立の参考にする情報は「レシピサイト・アプリ」が最多で45%
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000559.000004376.html

※4 レシピ検索から紐解く食トレンド アフターコロナの料理傾向
https://biz.delishkitchen.tv/blog/4

レシピ動画はSNSで視聴している

前述の「ロイヤリティ マーケティング」調べによると、20、30代が夕食の献立を考える際に参考にする情報の2位は「動画サイト(YouTube・TikTok等)、3位は「SNS(Instagram・Twitter・Facebook)」となっています。このように最近は若い世代を中心に、動画サイトやSNSでレシピ動画を視聴することが増えています。
短尺の縦型動画の需要により特に人気の高い、TikTok、YouTubeショート、Instagramのリール動画について、その特徴を解説します。

TikTok

若い世代を中心に人気のTikTokではレシピ動画の投稿、検索ができ、「#レシピ」「#簡単レシピ」「#アレンジレシピ」などのハッシュタグを付けた、たくさんのレシピ動画が公開されています。
手順を見るためのレシピ動画というより、見て楽しむ料理鑑賞動画といった要素が強く、人の投稿を真似した再現レシピやアレンジレシピが広がるなど、いわゆる「バズる」という現象が起きやすいのが特徴です。時にそれはTikTokを超えたトレンドとなる場合もあり、TikTokに投稿されたライスペーパーのアレンジレシピを発端にブームとなり、店頭でライスペーパーが品切れになるというニュースもありました。

YouTubeショート

YouTubeは通常横型ですが、縦型で最長60秒のショート動画に特化したサービスがYouTubeショートです。YouTubeは幅広い年代層に利用されており、実用的なレシピ動画もあれば、見ているだけで楽しめるエンタメ色の強い動画もあるなど多彩です。
目に留まりやすいショート動画を拡散用に、そこから横型の本編動画に流入させるという、導線の入り口として活用するという方法もあります。

YouTubeショート動画とは?作り方や企業におすすめの活用法、事例も解説」も参考にご覧ください。

Instagramのリール動画

Instagramで動画を配信するにはストーリーズやフィード投稿などありますが、最長90秒の動画をInstagram内で制作、投稿、視聴できる機能が「リール」です。ストーリーズと違って24時間経っても消えることはなく、またフィード投稿と異なり、スマホの画面いっぱいに表示されるのでよりダイナミックに映像を楽しむことができます。レシピ動画を通してアカウントの認知拡大や新たなフォロワーの獲得を狙うなら、リール動画もぜひ活用しましょう。
Instagramは、TikTokに比べると20〜40代の利用者層も多く、主婦層や社会人層にもリーチしやすいというメリットがあります。またビジュアル中心のプラットフォームであるため、料理の美しさやシズル感を表現した動画は特に相性が良いでしょう。

各SNSの利用者層について参考:令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(総務省情報通信政策研究所)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000765135.pdf

SNS動画をPRに活用する|各SNSの特徴や動画のポイント・注意点など」も参考にしてください。

人気のあるレシピアプリはレシピや機能が豊富

SNSのレシピ動画は、料理を作ろうとしている時ではなくても楽しいから見る、好きなクリエイターやインフルエンサーの投稿だから見る、という場合も多いでしょう。
一方、レシピアプリは料理の検索だけでなく、献立作成やお買い物メモ、お気に入り登録など、アプリによって様々な機能もあります。毎日料理をする人や料理を作るのが苦手な人、時間がなくてパパッと作りたい人などにとってはより実用的な使い方ができるといえるでしょう。
多くのアプリが無料でダウンロード、利用ができ、有料会員になると閲覧できるレシピや使える機能が増えています。

様々なレシピアプリがありますが、特に人気のある「クラシル」「DELISH KITCHEN」「クックパッド」の3つの特徴を見てみましょう。

クラシル

dely株式会社が運営するレシピ動画アプリ。2023年6月に累計ダウンロード数が4,000万件となるなど、人気のレシピアプリです。管理栄養士が監修するレシピを40,000件以上掲載。数十秒から1分程度の動画で調理工程が紹介され、材料・分量がテロップ表示されます。
また、プロの料理人や料理研究家、さらに一般の人も動画を投稿できる「クラシルショート」という機能があります。料理のレシピやテクニックを15〜60秒のショート動画にまとめ、クラシルのサイト、アプリ上で配信できます。

DELISH KITCHEN

株式会社エブリーが運営するレシピ動画アプリ。全レシピを管理栄養士が監修し、食のプロが作るオリジナル料理レシピを毎日配信。調理工程がシンプルでわかりやすいと好評で、全体の調理工程を1分程度にまとめたメイン動画と調理手順ごとの動画があり、調理中でも繰り返し見やすい工夫がされています。

クックパッド

レシピサービスの先駆け的存在であるクックパッドのアプリ版(クックパッド株式会社が運営)。クックパッドは、一般の人がレシピを投稿し、それを見て作った他の人が「つくれぽ」というコメントができるなど、料理レシピのコミュニティウェブサイトで、前述のクラシル、DELISH KITCHENとは少し性格が異なります。
基本は画像とテキストから成り、一部レシピにおいて動画もあります。

レシピ動画は企業タイアップが効果的

レシピ動画を制作し、自社のウェブサイトやSNS、YouTubeなどで配信するという方法もありますが、より認知拡大や購買意欲の向上を図るならタイアップも効果的です。レシピ動画でよく目にするタイアップ事例をご紹介します。

人気の料理系YouTuberと企業タイアップ事例

YouTuberが企業からの依頼を受け、YouTubeで商品やサービスをプロモーションする販促方法です。料理系YouTuberとタイアップすることで、料理が好きな人、料理を作る人へ効果的にアプローチできます。(他社制作の事例)

タイアップ事例①

料理研究家リュウジのバズレシピ×ヤマサ醤油
https://www.youtube.com/watch?v=QptvzBAqF7s
料理研究家でYouTuberのリュウジ氏が、自身のYouTubeチャンネル「料理研究家リュウジのバズレシピ」で「ヤマサ醤油」の商品を使い料理を作る内容です。テンポ良い語り口で、料理の手順を説明しながら商品の特徴や使い方を紹介。わかりやすく楽しく見ることができるので、広告よりも興味を持ちやすくなっています。
「料理研究家リュウジのバズレシピ」のチャンネル登録者数は425万人(2023年9月現在)。リュウジ氏のように登録者数が多くいるYouTuberに依頼すれば、その分影響力も大きく効果を期待できます。

タイアップ事例②

Koh KentetsuKitchen×エノテカ株式会社
https://www.youtube.com/watch?v=ngBRlEO6bRE

テレビや雑誌などで幅広く活躍する料理研究家のコウケンテツ氏が、ワインの輸入・販売を行うエノテカ株式会社とタイアップしたYouTube動画です。コウ氏がワインを楽しむオープニングから始まり、プロモーションするワインに合う料理を作る内容になっています。
動画内では「豚肉や鶏肉には白ワインが合う」などワインと料理のペアリングのポイントも解説。毎晩ワインを飲んでいるという愛好家のコウケンテツ氏が紹介することで、話に説得力があり、ワインの美味しさや楽しみ方がより伝わってきます。このように商品のイメージに合ったYouTuberに依頼することも大事なポイントです。

タイアップ事例③

はるあん×東芝ライフスタイル株式会社
https://www.youtube.com/watch?v=AbBXt470x3I
パン作りの動画も多い料理系YouTuberはるあんさんが、パンが美味しく焼けるといわれるオーブンレンジ「東芝石窯ドーム」を紹介するタイアップ動画です。実際に商品を使って料理を作っているので、商品の特徴や使い勝手がよく伝わる内容になっています。
パン作りの動画を視聴する人たちに商品をプロモーションできるので、まさにターゲットが合致。このように商品のターゲット層と同じ視聴者層を持つYouTuberに依頼することで、より高い販促効果につながります。

レシピ動画アプリでのタイアップ広告展開

前述のレシピ動画サービス「クラシル」や「DELISH KITCHEN」では広告事業も行っています。プロモーションしたい商品を使ったレシピ動画を制作し、アプリ利用者やSNSのフォロワーへ配信。自然な形で商品の魅力や使い方を訴求できます。一例を紹介します。

DELISH KITCHEN×ジップロック®︎

https://delishkitchen.tv/recipes/454620719981003795
「ジップロック®フリーザーバッグ」を使って、鶏肉に下味をつけておく時短レシピです。商品の使い方だけでなく、使用することで「時短」につながるとして、商品の魅力をアピールしています。

クラシル×キリンビバレッジ株式会社

https://www.kurashiru.com/recipes/2aa7b4d0-259e-4ad8-ba75-1338cf953db8
キリンビバレッジの野菜ジュースを使用したパスタの紹介です。商品パッケージを丁寧に見せつつ、通常と同じ手順の動画になっているので、商品の紹介が自然です。

他にも食品・調味料・家電・調理器具メーカーなどとタイアップしたり、制作した動画を店頭で流したり、購入者への特典としたりなど、レシピ動画は様々な活用方法が考えられます。
マーケティングや販促でレシピ動画を制作する際は、ターゲットに適したプラットフォームを選び、タイアップや広告展開なども含め検討しましょう。

まとめ

今回は、今よく見られているレシピ動画の傾向と、それらを踏まえた制作のポイントについて解説しました。
今、料理を作る人が参考にするものとして多く挙げるレシピサイトやレシピアプリ。それらの動画の多くは1分程度であり、またTikTokやYouTubeショート、Instagramのリール動画などのショート動画の人気により、レシピ動画においても短尺のものが増えています。
レシピ動画を制作する際は、ぜひショート動画も活用してみてはいかがでしょうか。
どのようなレシピが好まれるのか、ターゲットに適したプラットフォームは何か、お悩みの担当者の方もいらっしゃるかもしれません。
料理という特性上、美しくおいしく見せるためには撮影も重要なポイントです。
当社は、キッチンスタジオを含む8つの撮影スタジオを全国に完備しています。リモートでの撮影立ち合いやディレクションも可能です。

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